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(maki side-2)
達筆とはいえないけれど、バランスよく書かれたその名前に見覚えがあった。
同じ県内で、同じスポーツ。今回の結婚式の主役である先輩とは、同じ学年のその人が、ここにいても不思議はない。
ハッとして蒔田が顔をあげると、その人-深山は、会場の重たい両開きの扉をくぐってしまったところだった。顔は確認できなかった。でも「あの」深山だと、妙な確信があった。
追いかけよう、としたそのとき。
「タツ~!久しぶり!」
後ろから来た奴におもいきりタックルをかまされる。
「ってー。…てか、川ちんも呼ばれてたんだ」
「あったりまえーでしょ!同じ部の、お前が呼ばれて俺が呼ばれないわけがない!」
胸を張ってそういいはったのは。懐かしの同級生、川野陽一(カワノヨウイチ)。三年間同じ釜の飯を食べてきた仲間と会うのはうれしい。
テンション高く、バカみたいに「うぇーい」とハイタッチを交わしていると、そんな二人を見つけた、懐かしい面々が回りに集まってきた。
そうこうしているうちに。
披露宴が始まり、テーブルにはやはり仲の良い面子が集ってしまったこともあり。
さっき見かけた深山のことは意識の彼方においやってしまっていた。
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