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(maki side-6)
そんな蒔田の頭のなかを知るよしもない深山は、
「え。マジで。…タメじゃないの、俺らと」
目を見張って、それからぶほっと吹き出した。ちょっと我慢してから吹き出したから、余計に悪い。
言いたいことはわかる。
「老けてますが、こう見えてハタチです。今年、成人式です」
言われる前に言ってしまえ。
大学に入ってから、見た目に実年齢が追い付かなくなってきたのは自他共に認めるところ。
蒔田が初対面の人に自己紹介するとき、このネタはもうすでに鉄板となりつつある。
「シバがタメ語だったから、年上はないかなーと思ったけど」
年下って!と、いいつのる深山に、蒔田は若干むっとした。顔に出てしまったかもしれない。
「いや、ごめん。で、名前は、マキ?」
柴田先輩が呼んでいたのはマキ。先輩たちはそう呼ぶ人が多くて、同級生はタツ、が多い。どっちにしろ、名字なのか名前なのかわかりにくい。
「蒔田です。蒔田、達」
「んー。それで、マキ」
じゃあマキ。よろしく。
深山は、少し前屈みになって斜め下から蒔田を覗きあげるようにして(上目遣い、というやつだ)、軽く片方の口のはしをあげてニヤっと笑った。
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