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おこずかいを節約しようと思ったのがいけなかった。夏期講習に通っている兄のいない隙に部屋に忍び込み面白い本があったら、内緒で借りてしまおう、と思った。
それで、海音は、本棚の扉を開けて覗き込んだ。古い本の臭いが鼻をつく。なあんだ、ミステリーばかりじゃない。つまんない。他に無いのかなぁと見ていくと、ありました、ありました。「ノンゼ・イヤガのパラドックス」というタイトル、こんなの男の子しか読まないよ、これにしようっと。
自分の部屋に帰って、ベッドにうつ伏せになり、両手でその本を前に突き出して、読み始める。どうやらこの本は、日本のイヤガ研究者による解説本らしい。なになに、16世紀のギリシャに偉大な預言者がいて、人類の滅亡を予言したって。いつ、いつなの?海音は興味津々だ。斜め読みしていくと、予言の核心部分に辿り着く。こう書いてある。
「2018年のアウグストゥスの月の終わり、太陽が燃え上がり、地表には熱風が吹きつけ猛暑になり、大波が起こって海岸線を飲み込み、やがて星が空から降って来て...」
やっべ、今年じゃないよ。アウグストゥスって何月?英語だと、ええっと、August。えっ、8月!明日から8月。どういうこと!
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