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十分に泳いで潜って、海から上がってくると、海音の目の前にサーフボードを抱えた高校生らしき男の子が二人立って、海の方を見ていた。ブロンズ色っていうのだろうか、こんがり焼けた肌をしている。何を眺めているんだろう、と思って、彼女も振り返ったが、そこには今上がってきた海原があるだけだった。
その様子に気付いた一人が声を掛けてくる。
「ねぇ、都内から来たの?」
「そう。」
「なんで、俺たちと並んで海見てたの?」
「何かあるのかって思って。」
二人とも白い歯を見せて笑う。
「で、何見てたの?」
「波の様子。」
「波?」
もう一人の方の説明によれば、彼らがやっていることは「波待ち」と言うのだそうだ。通常の波待ちは、ボードに座って波の様子を観察するのだけど、海に到着したばかりの彼らは、いつ始めるか、波待ちしているとのことだった。
「へぇ、それもサーフィンなんだ。」と海音。
「そうそう、面白いぜ、一緒にやる?」
サーフィンそのものよりも、サーファー男子に興味があったので、誘いに乗ることにした。
「今日は、もう帰るけど。」
「次、いつ来るの?」
海音は、海の家の名を告げ、この夏ずっとここにいること、お手伝いが終わるのは午後3時頃だと打ち明けた。二人の男子は、地元の高校二年生で、背の高いひょろっとした方が翔平、もう一人の細マッチョが隆太という名だった。
海で遊んで、男の子たちと知り合って、暫く予言の話は忘れていた。お兄ちゃんは考えない方がいいと言っていたし、このままエンジョイしていた方が良いのかもしれない。予言が必ずしも当たるとは限らないし。それに、例え世界の終わりが真実だとしても、自分ではどうすることもできないし。今のうちに思いっきり楽しんじゃう手もある。
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