第一章 お持ち帰りと鬼軍曹

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「はい・・・どうする?延長だって」 え、この声?延長―――? 顔が近づく。 「俺イッテねえんだけど」 耳元に響く低い、いい声に頷いてしまった。 一時間延長、やったね。 あ、なんかかわいい。 「お願いします!」 うそー! 本当に? それよりこの人誰だれよ? 思い出せ、思い出せ。 私もあんまり目がよくないけど、これだけ近くにいたらわかるんだけどな? ととのった輪郭の顔、いい男だな、どこで知り合ったんだろ。 甘い吐息、低い気持ちのいい声と私の好きなにおいにうっとり。 名前を呼ばれるたびに体が反応しちゃう。 大きな手が私の手をしっかり握りしめた。 あ、指輪・・・ 二人の声が重なる。 ぶるっと震えると短い声を上げ、力尽きたように体を重ねてきた。 それに加えて、やさしいキスは、体まで溶けちゃいそう。 気持ちよかった、SEXってこんな気持ちいいもんなんだ。 風呂に行けるかと腕を取られた。 「・・・メガネ」 「ない方がいい、行こう」 ん?この声、やっぱり聞き覚えが 「お前今度の休み空いてる?」 「えっ、あ、その」 「はっきりしろ、はっきり!」 あ…やっぱりこの声低い、ハイトーンボイス・・・まさか・・・ 抱かれ、近付いた顏、めがねをかけたこの顔にはしっかり見覚えがある。 そしてこの口調 メガネに近づきその中をのぞいた。 確認。 ウソ!!! やっぱり― 痛い頭をさらに何かで殴られた。 ガ――――ン、上司! ウソ!え――――!!!! 鬼軍曹、まじでぇ・・・? 「空いてるのか?」 「は、はい~」 「よし決まり、何、震えてるじゃん、かわいいなー、もう一回ここでしちゃう?」 この甘ったるい、高い声は、今まで聞いたことのない声で、気が付かなかったよー。 ふえ~、何で~ その後の事テンパっちゃって憶えてないし、でもタクシーで送ってくれたのは覚えてる、だって金払えって言われそうで。 ハハハ、私、やっちゃった。マジ?不倫
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