第一章 お持ち帰りと鬼軍曹

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目覚ましがけたたましくなる。 ゆめ、まさかねー 何で、あの鬼軍曹と寝ちゃったんだろ。結構飲んでたのはわかってんだよな、あのお酒、美味かったし、ハア、初めて酒で失敗した?どうしよ、とりあえず、仕事行かなきゃ。まだ頭痛い。途中で薬買おう。 私、畑山ちなみ、あいしょう、ちゃみ、二十五才、OL、商社で働いています。主な仕事は、みんなのお茶くみと、パソコンでの集計なんか、言われたことをこなすだけの仕事でほとんど座りっぱなし。 チビの私は座っているのか立っているのかわからないと、おちょくられる、部署で恰好のマスコット扱い。仲のいい子はいます、その中でも一個上の由美ちゃんとは大の仲良し、各階のお茶くみ娘は私のいる総務課の近くの給湯室にみんな集まるのだ。 「おはよ」給湯室にはもう五人の女子が昨日の話をしていた。 蒸気、少し温度が高いのかメガネが曇る。 昨日はどうして途中で帰ったのか聞いてきた。 「まさか覚えてないの?」 うん、とうなずいた。本当に覚えてない。どんだけ飲んだのかも。死んでもあの鬼軍曹にお持ち帰りされたとは言えない。 「マジ―、それヤバくない?」 「ねえ、ほんとに覚えてないの?」 「ちゃんと家に帰った?」 頷きながらお茶の準備をした。やいやい言うも耳に入ってこない。 「でもさ、あんた鬼軍曹とでて行ったんだよ」 ドキッ 心臓がとび出るほどの衝動、顔が赤くなる、どうしよう。 おはようと言って由美ちゃんが入ってきた。私に大丈夫かと聞く。 「まったく、一升瓶抱えて飲むのあんたぐらいよ」 メガネを押し上げ、へへへと下を向いて笑うしかなかった。多分今は顔が真っ赤だろうから。 あの、誰も寄せ付けないオーラをふりまいている、鬼軍曹もとい、長瀬部長を狙っている人たちがいる。そう、年齢的にも、うちらよりちょっと上の方々。私に度胸があるだの、よくやるよねと話している。どうも途中から二人で盛り上がっていたらしい。そして由美ちゃんの話だと私が帰る後をあの鬼軍曹はどうやら追いかけるように出ていったらしい。 「いなくなった後散々だったわよね」 「しーっ噂をすれば」 みんなが挨拶をする。 私もした。おはようございます。昨日はありがとうございました。
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