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おもに被災地で発見されたダイブの能力を持つ青年達は、皆が佐藤と似た体験をしていた。
彼らは海と人類をつなぐ役割を担う、「運命の子」と呼ばれている。
人類は期待を込めて、彼らをあらゆる面で優遇した。
佐藤は大学卒業までの7年間を現世界(新世界)最大の都市、デリーで過ごした。
標高200メートル超の高地にある為に津波の被害をさほど受けなかったデリー大学に、運命の子たちが集められたからだ。
「佐藤君にどこまでもついて行くからね」
澪は救助された時に宣言したとおり、彼と行動を共にした。
災厄の時代を生き延びるには、最善の選択だという打算からだろうか。
彼女はダイブの才能こそ持たなかったが、海洋生物の研究者として優れた適性を持っていた。
何より海を少しも怖れないという点で、佐藤の助手として最適だった。
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