青を求めて

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 いつもなら、視界いっぱいに『青』が広がるはずだった。だけど今見えるのは── 「ほらね? 言ったでしょう?」  立ちすくむ私の後ろで、母親が満足げに呟いた。  私は部屋の中心まで歩くと、呼吸を落ち着かせながらぐるりと回って部屋の隅々まで見渡した。  どこを見たって、白、白、白。  まるで今まで青かったことなど、この部屋自身もすっかり忘れているかのように、この部屋には『青』の片鱗すらなかった。    開け放たれた窓から、一筋の光が差し込む。白い壁を照らすその光は、悲しいほど輝いていた。  まるでこの世の始まりのような、景色。  そして気づいた。彼は『本物の青』を求め、この窮屈な世界から飛び出したのだと──  
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