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「ここは、京都。きっとこの街が持ってる不思議な力が働いて、一颯と一緒に過ごせる日が来るといいな───。」
漆黒の空を見上げながら想う想い人は、いつだって恥ずかしそうに立季の後ろにたっていた。
危なっかしくて、一人にさせておくと悪い虫が直ぐにつく。
「一颯は、そこにいるだけで誰もが引き寄せられる美しい薔薇のような存在だな。」
「薔薇?」
「あんなに綺麗なのに棘があるけど、根気よく育てれば薔薇もそれに応えてくれる。一颯と同じだなって思ってさ。」
「ブラコンか。」
「なんとでも言えよ。俺は必ず一颯をモノにする。」
蒸し暑い夜。
立季は、視線を戻し赤羽を見た。
赤羽は小さく首を傾げると「冷房が聞いてる部屋に戻ろうぜ。」と踵を返した。
「あぁ、わかったよ。じゃあ部屋で作戦たてよう。」
「はぁ!??」
くすくす笑いながら一颯と偶然を装う計画を考えている立季だった。
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