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アイリスの言葉を受けたミリアリアは諦念と達観が混ざり合った笑みを浮かべながら答え、アイリスは笑みを更に深めつつ言葉を重ねた。
「……フフフ、本当に面白いわね貴女って、やっぱり最初に貴女を見た時に感じた事は間違いじゃ無かった様ね」
「感じた事?」
アイリスの重ねた言葉を聞いたミリアリアは訝しげな表情を浮かべつつその中の一句を反芻し、アイリスは妖艶な笑みを浮かべて頷きながら言葉を続ける。
「……貴女は一つ思い違いをしているわ、普通のあたしだったら眠りを妨げた愚かな墓荒らしに遠慮なんかしないわ、話等聞かずそれ相応の報いを受けて貰うわ、そうしなかった理由はたった一つよ」
そう言うとアイリスは額が触れ合いそうな程自分の顔をミリアリアの顔に近付け、突然の行動に身体を強張らせたミリアリアの顔を至近距離から見詰めながら言葉を続けた。
「……まるで絵画から出てきた様に綺麗で凛々しいエルフの女騎士団長、そんな貴女と話がしてみたかった、それが理由よ」
「……っな!?」
アイリスの口から唐突に溢れた自身の容姿への賞賛を受けたミリアリアは真っ赤になりながら驚きの声をあげ、その反応を目にしたアイリスが蠱惑の笑みを浮かべて真っ赤になったミリアリアの顔を至近距離から見詰めつていると、ミリアリアは恥ずかしげに顔を俯かせながら口を開いた。
「……か、からかわないでくれ、わ、私は武骨な女なんだぞ」
「……あらあら、勿体ない、貴女の美貌だったら山ほど言い寄ってくる輩がいるでしょうに」
俯いたミリアリアが消え入りそうな口調で告げた言葉を受けたアイリスは呆れ気味に呟きながら手を伸ばすと、俯いてしまったミリアリアの顎にしなやかな指先を添えて軽く力を込めて顎をあげさせ、真っ赤になったミリアリアの顔を見詰めながら言葉を続けた。
「……澄んだ凛々しい瞳に絹糸みたいな美しい髪、少なくともあたしは貴女をほって置かないわ、だって初めて貴女を見た時あたしは一瞬女神かと思ったもの」
「……っな、め、め、めがっみっ!?」
アイリスの告げた言葉に狼狽するミリアリアは顔どころか笹穂耳まで鮮やかな朱に染まり、その様子を目にしたアイリスは瑠璃色の瞳を細めながら言葉を続けた。
「フフフ、何時もの凛々しい顔も素敵だけど、照れて真っ赤になった顔もとても可愛い、魔王のあたしをここまで惑わせ惹き付けるなんて、やっぱり貴女は女神なのね」
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