ー入学式・模擬試験ー

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入学式当日、例の適性試験に合格した者は全員、体育館に集められていた。その中には試験当日に見かけた巫女姿の少女の姿もあった。 「なぁ統司、あの子も合格したみたいだな。京言葉っていうの?あの話し方に巫女姿。インパクト抜群だったから一発で覚えたぜ」 「服装自由っていう校風だからな。不思議がることでもない」 統司とゼロに気づいたのか、巫女姿の少女は二人に向かってニッコリと微笑んできた。ゼロは鼻の下を伸ばしていたが、統司は意に介さない様子で正面を向いた。 しばらくするとチャイムが鳴り、冥王が姿を現わす。その瞬間、体育館内の空気が緊張感に包まれる。 「諸君、久しぶりだな。しっかりと覚醒は出来たか?本日は入学式ということで、本校のシステムを説明しようと思う」 冥王の話によると、当たり前のことながら一般的な高校とは違い、学業というものが存在せず、全てが自由時間であり、能力に対する理解や向上、昇華や新技の開発などに尽力するもよし、校内に何故か存在する娯楽施設で遊び尽くすもよし、自室でひたすら寝るもよしという、ある意味夢のようなシステムだった。 「ただし、注意事項もある」 この学園でも中間試験、期末試験というものは存在し、一般の高校と違うのは筆記試験ではなく、能力を使った実戦形式だということ、赤点成績の者は退学処分となることが挙げられた。 「我が校における退学処分とは、元いた世界に帰れるわけではなく、自分の存在が消されることと心得よ。死よりも辛いとだけ言っておこう」 それだけ言って、冥王は壇上を去った。 次に、生徒会長からの話があるらしい。
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