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統司とゼロがその場を去ろうとすると、後ろから奇声がまた聞こえてきた。先程、統司に両腕を折られたミステイカーが、その折られた両腕をグニャグニャと振りながら走ってくる。
「キモーっ!さっきにも増してキモーっ!どうするんだ統司!もうやだよ俺ぇ!」
「足をヤるしかないな。折ろう」
統司が身構えた瞬間、地面から手が伸びてきて統司の足をつかんだ。次の瞬間には地面からボコっと頭が出てきて、茶色の肌の人間が統司を羽交い締めにする。ゼロはその場で尻餅をついて動けず、青色のミステイカーは統司に飛びかかってきた。
「統司ー!!」
ゼロが叫んだ瞬間、ゼロの横を何かが通過し、茶色の肌の人間を射った。SF映画でよく見る光線銃から放たれるレーザーのようなものだ。続けざまにもう一発放たれたレーザーは、青色のミステイカーを倒し、統司は窮地を逃れた。
「危ないところだったわねん。アタシがいなかったらアナタ達、死んでたわよん」
二人を救ったのは細身の体だがガッシリした筋肉質、ピンクに染めたショートボブに鼻ピアス、タンクトップと短パンといった格好の男だった。
「濃すぎるだろ!何だそのオカマ丸出しの出で立ちは!BLに興味はねぇんだよ!」
「あら?命の恩人に対して何て口の利き方なの?妖艶熱視線(セクシービーム)!」
男は木に向かってそう言うと、目から光線を発射した。光線が当たった木は穴を空け、焦げた臭いが広がった。
「アタシがその気になったらアナタ達なんていつだって殺せるの。わかった?」
「は、はい。わかりましたすいません」
「ゼロが無礼な態度を取ってすまない。俺は結城統司。名前を教えてもらえるか」
「あら?こっちのイケメン君は話がわかるのねん。アタシは鎌田。鎌田金剛(かまた こんごう)。アナタは統司くんで、アナタは?まさかゼロって名前じゃないでしょ?」
ゼロは溜息をついて、口を開いた。
「……。花月零(かげつ ぜろ)だ。
「あら、意外と綺麗な名前じゃない。ゼロっていうのも本名だったのね。これからよろしくね零ちゃん♪」
ちゃん付けはやめてくれと言いたかったが、さっきの件があったので、ゼロは何も言わなかった。
三人はジャングルのさらに奥へと進んでいった。
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