ー入学試験ー

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結城統司(ゆうき とうじ)は眼前に広がる光景に、少しの驚きを感じていた。 赤黒く、凶々しく、重そうな扉がそびえ立つ。 「何だこのデカさは。例えるなら地獄の門という感じか。まぁ、冥王学園なんていう名がついてるくらいだ。むしろこれぐらいのほうが拍子抜けしないか。行くぞ、ゼロ」 統司は躊躇なく校門を抜けて行く。ゼロと呼ばれた少年は、慌てて後をついていこうとする。 「ちょちょちょ、統司!行くぞ、とかクールに言ってる場合じゃないだろ!こんな凶々しい学校に入学する気か!?どう考えても普通じゃねぇって!」 「それくらいでちょうどいい。くだらん日常には飽きてきたところだ」 「どこの厨二病だオマエは!だいたい筆記試験ナシの面接のみ!ましてや全員一斉にテストで場所は体育館!まともじゃねぇ!」 ゼロの言葉を無視して、さらに奥へと進む統司。ようやくゼロが校門を抜けたところで二人は違和感を感じた。 それは例えるなら、ほんの1秒にも満たない時間、強風を一身に浴びたような妙な感覚だった。 「何だ今のは?それにココは……」 統司が辺りを見回すと、そこは体育館だった。受験生と見られる、自分と同い年ぐらいの男女がガヤガヤと雑談をしている。つい先程まで校庭に居たはずなのだが……。
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