ー入学試験ー

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「諸君、ようこそ冥王学園入学試験へ。私は冥王学園の学長、冥王である」 メイオウと名乗った男は、白髪をライオンの鬣(タテガミ)のように整え、巨漢にダークスーツという裏社会の人間のような格好だった。 「無論、本名ではない。冥王学園の学長は代々、この名で呼ばれておるので気にしないように…。さて諸君、早速だが試験を始めよう。なに、一瞬で終わるさ」 そう言い放つと、冥王はスゥゥっと息を吸い込んだ。 何をするのかと思いきや、それを全て吐き出すと同時に、獣のような雄叫びをあげた。冥王の目は赤く光っている。 「何だいきなり大声出して……ん?」 目を開け、辺りを見回した統司の目に映ったのは、その場に倒れこんだ大量の受験者だった。 冥王はクックックと笑うと、口を開いた。 「だいたい3割といったところか。今年の新入生には期待できそうだな」 1000人はいたはずの受験者の中、あの冥王の雄叫びを聞いて立っているのは統司も含めて300人程度。倒れた生徒は気絶しているのかピクリとも動かない。 「あー、ビックリしたぜ。何なんだいきなりあのジジイ。驚きすぎて腰抜かしちまったじゃねぇか」 「ゼロ、オマエも無事だったのか」 「無事?何言って……え?何これ?さっきまでいた受験生の皆様方が倒れちゃってるんですけど」 「さぁな。わかっているのは今この場に意識があるヤツが合格者で、倒れているヤツが不合格ってことぐらいだ」 「ピンポンピンポン♪大正解!君達は、冥王学園の適性試験に見事に合格しましたぁ!」 眼鏡をかけたメイド姿の女が壇上に立ち、マイクを持って話している。 「今からみなさんには合格の証として、覚醒玉を差し上げます!自分の中に眠る力を呼び起こす魔法のアイテムであると同時に、この学園で生きていくために必要不可欠な物なので、みなさんなくさないように、受け取った方はその場で食べちゃいましょう♪」 「食べ……え!?食べんの?食すの?」 「学園側の人間が言ってんだから食うしかないだろ。自分の中に眠る力とやらも面白そうだ」 「統司!オマエさっきから何もかも受け入れすぎだろ!疑うことを知れ!詐欺師に騙されるぞ!変な壺とかワケのわからん羽毛布団とか買わされるぞ!」 統司はまたもや無視して眼鏡メイドの元へ行く
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