ー入学試験ー

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「合格おめでとうございます結城統司様。こちらが覚醒玉でございます。ご賞味ください」 眼鏡メイドから飴玉のようなものを受け取った統司は、何のためらいもなくソレを口に含むと、ゴクっと一気に飲み込んだ。漫画やアニメのように周りの空気が震えるだとか、赤や青のオーラを纏うなどということはなく、ただ静かな空気だけがそこにあった。 「…何も起こらなかったようだが」 「大丈夫です♪みなさん同じような結果ですから。ちゃんと入学までには覚醒しますよ」 眼鏡メイドはニッコリと笑うと、次の合格者を呼んだ。ちなみにゼロも同じように何の変化も起きず、最後まで見てみたものの、誰一人として変化が起こった者はいなかった。 「みなさんお疲れ様でした♪それでは皆様には各々、自分の部屋が与えられますので、ご自由にお使いください」 「あのー、ステキ眼鏡のメイドちゃん?俺、家に帰って着替えとか取りに行きたいんだけど」 ゼロが右手を挙げながら意見をすると、周りの生徒が笑い出した。 「な、何がおかしいんだよ!みんなだって家に帰るだろうが!」 眼鏡メイドが口を開く。 「本当に何も知らずにこの学園に来たんですね。もう自分の家には帰れませんよ。卒業するか、あるいは…死ぬまでね」
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