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眼鏡メイドの説明によると、どうやら冥王学園は自分達が元いた世界とは違う時間軸、いわゆるパラレルワールドに存在するらしく、入学試験当初に感じた違和感は、この時空転移のせいだったらしい。あながちゼロの言っていたワープという表現も間違いではなかったということだ。
余談だが眼鏡メイドは通称『メイドル』というらしく、メイド+ドールの造語だそうだ。
つまり、あのメイドルという存在は、生身の人間ではなく、人工的に作られたものだということだ。それにしても生身の人間とまったく区別がつかないくらいに精巧だったな。
統司がメイドルの話を思い返していると、ドアを乱暴に叩く音がする。この学園に知り合いはゼロしかいない。統司が開いてるぞと言うと、ガチャっとドアを開く音がして、険しい顔をしたゼロが口を開く
「開いてるぞ。じゃねーよアホ!開けとくな!閉めとけ!無用心か!ブヨブヨ星人かお前は!ワケのわからねー能力者だったらどうすんだ!瞬殺されちまうだろうが!」
一息に大声で叫んだゼロはハァハァと息を荒げて統司を見る。
「能力者だったらドアの鍵も何もあったもんじゃないだろ。落ち着けよ。メイドルの話によると、学生寮は特殊な封印がされていて、如何なる能力も使えないから安心してくつろげるらしいからな」
「何回言わせるんだお前は!人を疑うことを知れ!ワケのわからん掃除機買わされるぞ!ダイソンも驚きの吸引力、ブラックホールクリーナー!お値段なんと30万円!とか買わされるぞ!」
「どうでもいいけど何で途中からジャパネットの社長のモノマネしてるんだ?」
「うるせぇ!もういいんだよそんなことは!それより統司、例のマニュアル見たか?」
ゼロの言う『マニュアル』とは、各自室にある『能力取扱説明書』のことだ。
覚醒玉によって目覚めた、自分の中に眠る力とやらがどんなものであるか、その基本的なものが記されている。たとえば火を操る能力ならば、その簡単な使い方と、技を昇華したりレパートリーを増やすことが出来るといった具合だ。
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