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約束の日、心配だと言う2人をなだめて、1人で言われた場所に向かった。
着いたのは山奥に似つかない高い壁で囲まれた門の前…
「なにこれ…」
中が見えないから少し不安になった…
ボーっと見ていると、中から男が出てきた。
「タツキ…て子かな?」
「…あぁ、はい」
「…。とりあえず中に入って…」
小さな出入り口から中に入った。暫く歩くと見た事もない光景…。
塀の中に街があった…赤い格子が目立つ建物がいくつも並んでいた。
「何…?コレ…」
歩きながら、男が言った。
「ココは遊郭をモデルにした男専用のソープ街…君は僕に買われたんだ。可哀想に…悪い奴に目を付けられちゃったね…ここから出るには稼がないと出れないんだよ?」
「ハ!?聞いてない…」
「安心して、早めに出してあげるから。
僕はアイツが嫌いでね…アイツを貶めたい。だから、バカな金額の話に乗ったんだ。
ま、君ならあの金額でも安いくらいだったかもね…。
後で君の家族と話をさせて欲しい。それと、当分はここで生活してもらう事になるから我慢してね」
「……マジか…」
「あと、絶対に暴れたりしないでね。こんなヤバい所、バックに誰がいるかは想像できるよね?目を付けられると、出してあげれなくなるから…」
余りの展開に言葉が出なかった。
大きな建物の前で足が止まった。
「僕はここの楼主の、ヒマリ。君は…今日からここではアオイだ。
また、後で話そう。まずは準備をしてくれる?」
理解が出来なまま、連れて行かれた。
風呂に入れられ、 個室の部屋に入れられ、メイクをされて、着物を着せられた。
「誰だこれ…」
自分の姿を見て驚いた…
アッシュグレーの髪は大人し目にセットされて、耳には金色の華奢なピアスが付いていた。
オレンジとチョコレートが混じったような色の、派手な柄の着物を着せられていた。
「とても、素敵です。本当に綺麗…
あ…っごめんなさい!この部屋はアオイさんのお部屋です。お酒も用意するように申し付かりました。お好きに飲んでいただいて大丈夫です。何でも、私に言ってください。世話役につかせていただきますので」
「ありがとう…名前は?」
若くて可愛い子だ。理由があってココにいるんだ…一生懸命で可愛く思えた。
微笑みながら名前を聞いたが、急に真っ赤な顔になって動かなくなった。
「アレ?大丈夫かよ…」
「はッ……さ…サツキです…。そ、それでは失礼いたします」
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