孤独

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 母は俺を捨てていなくなった…   俺は逆に嬉しかった。鬱陶しい人がいなくなって。 まともに話もしたことのない人がいなくなっても何も問題はない。結局、変わらず一人のままなんだから…  会う事のない家政婦は来ていた。 俺が野垂れ死になんてしたら恥ずかしいもんな…世間体を守るために父が来させてるんだろう。 これは、ありがたかった。  一人になった俺は、真っ黒な服に包み、ケンカの毎日。 笑わない俺は、歩いているだけで、目つきが気に食わないとにケンカを売られ、いつも傷だらけだった。…でも生きてる実感を持てた。 人付き合いなんて教えてもらってない俺に、友達が出来るはずもなくいつも一人だった。  中3になり、進学という問題が出てきた。 家に居るには高校進学が条件に出された…ほとんど学校に行ってなかった俺は苦労したが、偏差値の低い男子校に受かり、進学が決まった。  入学早々、目をつけられたが返り討ちにしてやった。 それ以来、俺の周りには頼んでもいないのに人がやたらといた。人と関わる事に慣れていない俺には苦痛だった…  そんなある日、俺と同じくらいの年の男が家に来た。 真面目そうで、黒くてサラサラの髪を揺らして微笑んでいた。 切れ長の目で、男なのに美人だった。 綺麗に笑うんだな…つい、見惚れてしまった。 「はじめまして、雄です。竜希くんと同じ年の17歳です。 兄弟になりました。よろしくお願いします」 と、頭を下げた。兄弟…?そうなんだ…この子が跡取りか… 父の会社を継ぐために来たんだ、役立たずの俺の代わりに… 俺はいないも同然、後継ぎは「雄」。 何もできない俺せいで、コイツの人生を奪ってしまったかもしれないな…
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