孤独

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 雄は、何故かレベルを下げてまで俺と同じ高校に転校した。 俺の周りにはガラの悪い奴ばかりいたのに、いつも俺の傍にいた。雄は、美人で優しい性格だからすぐに人気者になった。男子校に女神が来たと大騒ぎだった。  毎日その女神と学校に行き、帰る俺を羨ましいく思う奴もいた様だ。 女神の雄は俺を「竜希」「たっちゃん」と呼んでついて回った。初めは、困ったが、不思議と嫌ではなくて雄の好きにさせていた。  ある日、リビングで面白くもないテレビを見ていた。 ソファーに座りぼんやりと、画面を見ているだけで内容なんてわからなかった。 「何を見てるの?一緒に見てもいい?」 隣に腰を下ろして微笑んだ。 「俺、別にいいから、好きなの見れば?…部屋戻るわ」 立上がったけど、腕を掴まれて戻された。 「なんだよ…、何か用か?」 「少し、話さない?ダメ?」 悲しそな顔で言われると断れなかった…  初めは学校の話とかしていた。でも、突然雄は言った。 「竜希って、綺麗な顔してるよね」 「は?」  理解が出来なかった。鏡に映る俺は、綺麗なんて言葉が似合う顔ではなかったからだ。 鏡を見ると俺を睨みつける陰気な顔、それが俺なのに… 「あのさ、お前は目が悪いのか?それとも頭が悪いのか?そんな冗談面白くないぜ」 雄は、目を見開いて言った。 「知らないの!?あ~~。わかってなかったんだ…なるほどね…。 あのね、竜希くんはものすごく綺麗なんだよ!?このシャープで小さい顔に、黒目がちの大きな目と、鼻筋の通ったカワイイ鼻、ポテっとした赤い唇が絶妙なバランスで綺麗に配置されてるんだよ!?すごいんだよ!?」  何を興奮してるんだ?余りの勢いにビックリした…けど、俺の事を言うのにこんなに一生懸命に言う雄がおかしくて笑ってしまった。 「フフ、なに興奮してんだ。変な奴だな…」 「あ…可愛い」 笑う事に慣れていない俺は、その言葉で急に恥ずかしくなった。子供の頃からの癖で手の平を外に向け、手の甲を口に当てて顔を隠した。熱くなった顔はきっと真っ赤に違いない… 「バカ…」 「可愛いなもう…。 ねぇ、たっちゃんは学校で何て陰で呼ばれているか知らないでしょ…。僕は、恥ずかしいけど『女神』…。たっちゃんはね…、『姫』なんだよ。うん、理由が今わかったよ。皆、よく見てるんだね、笑うと、めちゃくちゃキュートで可愛すぎる…襲いたくなっちゃう…」
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