きっかけ。

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************* 「蓮兄?」 物思いに耽っていた蓮は、弟の呼び声にはっと現実に引き戻され、隣に腰を下ろしている由紀に視線を向けた。 「どうしたの?由紀。」 穏やかな笑みを浮かべて弟を見つめると、由紀が少し不機嫌そうに呟いた。 「だから、お祭りに行こうって…」 由紀が頬を膨らませて蓮を軽く睨む。 あぁ、そんな約束をしたな…と蓮は記憶を手繰り寄せる。 『蓮兄とりんご飴食べて、金魚すくいして…氷菓子も食べなきゃ!』 うん。と返事をした後の由紀の嬉しそうな顔が忘れられない。 向日葵の様に輝いていて温かい。 蓮の好きな顔。 可愛い弟。 無垢で…何も知らない義弟。 否、何も知らなくていい由紀。
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