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篠山葉月とは、子どものころ、家が隣で家族ぐるみの付き合いがあった。
お互いの両親は共働きで、葉月よりも4つ年上の私は、一緒に留守番をしたり、私が中学になると習い事や学童の送り迎えをしていた。
赤ちゃんの頃からの付き合いだから、もはや弟のような存在だったし、葉月もよく私に懐いていたと思う。
でも、そこであれっと思った。
小学生までの葉月の記憶はあるけれど、それ以降の葉月の記憶がない。
年の差4つと言うことは、葉月が中学生になる頃、私は高校生になっていたころだ。
「あー」
私が引っ越したのだ。
隣町に住む叔父さん一家が海外転勤になって、同居していたおばあちゃんが一人残ることになり、その叔父さんの妹である母が一緒に同居することになり、引っ越したのだった。
その頃、とにかく時間に追われるような高校生だった私は、いつの間にか葉月とは疎遠になり、引っ越しとはと言っても隣町でそれほど大袈裟なことには感じていなかったのだろう、出発間際にさらっと挨拶に行っただけのような気がする。
でも、小学校の卒業祝いはあげたと思う…母経由でだったけど。
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