第4章 川守一誠

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できれば、関与したくない…。 しかし、この目で確かめたいのも真実。 しばらくして、騒がしさがおさまったのを見計らって、院内学級 あじさい組を目指す。 あじさい組のある廊下を曲がると、見たことのあるヤツが一人と、全く知らない者が一人。 (今朝の問題人物はこちらだな) 勢いあまり、話していた二人の間に割って出た。 こっちが制圧するつもりだったが、不覚にも、痛い所をつかれた。 『心が不安定なのはあなたじゃないですか?』 …そうだ。…俺だ。 これでも、いつも感情をおもてに出さないようにしているつもりだった。 なのにあの蒼井とかいう新入りに…言われてしまった。 だから、さっさとその場を離れた。あれ以上、あの場にいても…時間の無駄だ。無理矢理そう思った。 (音楽…か…) それもまた、心に引っかかった。 (キライ…だ…) 自分の気持ちにフタをする。 開けてはいけない、フタ。 …[あの頃]から、そうしている…。 そうすることで、自分を守ってきたんだから…。 だけどそのフタは、近い将来開いてしまいそうな気がして… …怖かった。 …こんなの、初めてだ…。
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