01.

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 そうに決まっている。そうで無ければ、こんな所に連れて来られる筈が無い。ここで自分は売られるのだろう。  顔を強ばらせていると、後部座席にいた男が車を降りた。ドアマンは、それに続き春翔が降りて来るのを待っていた。しかし、車から出る事ができる筈が無い。車から降りれば、売られてしまう事になるのだから。  反対側の扉に背中を付けてこれ以上後ろに行く事ができない状態になっていると、黒尽くめの男に外から声を掛けられた。  相変わらず彼が喋っているのは日本語では無かったのだが、それでも今の状況から、車から降りろと言っているのだという事が分かった。その言葉に従う事ができずにいると、中に入って来た黒尽くめの男に無理やり車から降ろされた。  春翔が逃げようとしている事に、黒尽くめの男たちは気が付いていたのだろう。直ぐにもう一人の男がやって来て、逃げる事ができないように二人は左右から春翔の腕を掴んだ。 「離せ! 離せ!」  どんなに暴れても無駄であるという事は分かっていたが、それでも大人しくしている事などできず暴れていると、黒尽くめの男たちが歩き出した。  男たちに引き摺られるようにしてホテルの中へと入ると、中にいるホテルの従業員だけで無く金持ちであるという事が分かる小綺麗な格好をした客たちの視線を集める事になった。  何か起きているのだという事は、見れば分かる。春翔を助けてくれる者がいるかもしれない。そんな期待をしながら騒いだのだが、助けようとする者は現れる事無くエレベーターへと乗せられてしまった。 (何だこの部屋……?)  エレベーターの扉が開いた先には廊下があるのだと思っていたのだが、その先にあったのはカラオケのパーティールームよりも更に広さがある部屋であった。  そんな部屋に並んでいる調度品は、今まで見た事が無いほど立派な物である。どれも美術館に飾られていそうな物だ。  ここはホテルの部屋の一つなのかもしれない。こんなにも広いのならば、かなりランクが上の部屋なのだろう。スイートルームなのかもしれない。
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