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そういえば彼に言い忘れていたことがあったのを思い出した。
「あの……先ほどは突然泣き出したりしてすみませんでした」
「いや、あれは不可抗力というかなんというか……俺の方こそ泣いている君を放って帰ってしまって……その、申し訳ない」
「……」
(もしかして気にして戻って来たのかな?)
この人には何も非がないというのに。寧ろみっともない醜態を晒した私が謝るべきだと思った。
「あの、もしよかったら中に入りませんか」
「え」
「もう昼食、食べました?」
「あ……いや、まだ」
「よかったら何か作ります」
「……」
その人は少し躊躇いがちな表情を見せたけれど、素直に私の後について店の中に入ってくれた。
「ピラフを作りますけどいいでしょうか?」
「ピラフ……そんな洒落たものを此処で食べられるとは」
「ふふっ、大袈裟です」
カウンター席に座ったその人は私が笑ったのにつられて口元を綻ばせた。
(う゛っ! 笑うと更にいい男になるんだ)
内心ドキッとした気持ちを押さえつつ、そういえばと先ほど気がついたことを口にした。
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