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「どう、ですか?」
コーヒーの件があったので少し緊張しながら東藤さんの反応を窺った。
「美味しいですよ」
「! よかった」
(とりあえず不味いのはコーヒーだけってことなのかな)
それもどうなのかと思ったけれど、とりあえずホッと胸を撫で下ろした。
店内に流れるのはスプーンがお皿に当たる音のみ。それを訊きながら時折東藤さんを盗み見る。
(しかし……本当、綺麗な顔をしているなぁ)
おまけに食事をする所作も綺麗で益々何故こんな人がこんな田舎にいるのかが不思議だった。
そして不思議といえば──
(なんで着物、着ているんだろう)
そのいでたちが不思議さに拍車をかけていたのだった。
すっかり陽が暮れ、お茶屋再開初日は無事に終わりを迎えた。
「んー……こんなものなのかな」
店舗続きにある自宅の居間にて何度目かのため息をつく。
初日の来客数は11人。売り上げは一万円にも満たなかった。
「そりゃそうだよね。ほぼ飲み物しか出していないし」
元々は亡くなった祖母が趣味の延長線上で始めたお喋り場のお店。そんな店で儲けようという心構えでいた私が浅はかだった。
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