第一章 お茶屋、再開しました。

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「さて、どうしたものかな」 飲み物の値段を上げることは出来ない。多分それをやったら祖母との繋がりがあった馴染みの集客は途絶えると思う。 お喋りついでにお茶を飲むならこの程度の金額まで出せるという枠があると思うから飲み物の金額に関しては祖母の時代からのままにしておきたい。 「となると軽食の数を増やすか」 今現在の軽食メニューはおにぎり、サンドイッチ、ナポリタンの3種類のみ。 でもこの軽食が注文されることはあまりない。 (現に今日もサンドイッチひとつだけしか出なかったし) しかし軽食の数を増やすとなると仕入れ額の倍増が懸念される。材料費や光熱費、それらを投入してまで売り上げが出るのかどうか──…… 「これは……一種のギャンブルね」 可笑しくもないけれどつい乾いた笑みがもれた。 家賃出費がないだけでもありがたい。住む処はある。食事も贅沢をしなければ大丈夫、と出来るだけいい面を考えて気持ちを浮上させた。 「……」 元々最初から上手く行くとは思っていなかった。 まだ初日。それだけで全てを決めてしまうのは早急だと思っている。 (……とはいえ) 余りにも考えなしで此処まで来てしまったかな、とぼやきたくなった。
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