第一章 お茶屋、再開しました。

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RRRRR♪ 机に置いていた携帯が鳴った。慌てて手に取ると其処には友人の名前が表示されていた。 「もしもし?」 『あ、美野里? わたし』 「芽衣子、久しぶり」 『久しぶりだね。ねぇ、スローライフはどんな感じ?』 「スローライフって……まだ一週間も経っていないから」 『そっか。今日お店開けたんでしょう? どうだった?』 「んー……まぁこんなものかなって感じ」 『なに、歯切れ悪いね。大変だったの?』 「大変っていうか……まぁ、ある意味想像していたよりもうんと先行き不安っていうか」 学生時代からの友人である島岡芽衣子(しまおかめいこ)はなんでも話せる数少ない貴重な友人だ。 だから包み隠さず現在の状況、心境など弱音を素直に吐露することが出来た。 『あぁ、やっぱり理想と現実って違うものなのね』 「まぁ、まだこっちに来て一週間っていう短さもあるんだろうけれどね。なんだかひとりだと色々考えちゃって」 『色々って……美野里、まだあのこと──』 少し声のトーンを落とした芽衣子に慌てて弁解した。 「お店のこと色々だよ。当初考えていた目論見が外れているかなぁって……そういう意味で悩んでいるっていうか」 『そうなの? ……大丈夫なんだね?』 「うん」 芽衣子は私の抱えている心の傷を知っている。だからこそ人一倍気にかけて心配してくれる。
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