第二章 歓迎会、開かれました。

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今朝もまた店の扉の鈴がカランコロンと鳴る。 「いらっしゃいませ」 「はいはい、来ましたよ~」 「あんれまぁ。まーたわしらが一番乗りかいな」 「ははっ、空いていて席がより取り見取りだよ」 「美野里ちゃん、いつもの四つね」 「かしこまりました」 お店を再開し始めた翌日、午前中の早い時間から祖母の馴染みのお客さんがぞろぞろやって来た。 どうやら皆さんは朝早くから畑仕事などをした後、朝食を食べたり一通り家事をこなしてひと息ついた頃、お茶を飲みがてらお喋りをしに此処にみんなで集まるという流れのようだ。 (お店に来ることが一日のスケジュールの中に組み込まれているんだな) そんな嬉しいような戸惑うような、妙な気持ちを持ちつつもやっぱり心の中では有難いなと思った。 「美野里ちゃん、手が空いているなら一緒にお喋りしないかぃ?」 「え」 「そうそう。美野里ちゃんのこと、色々教えてぇな」 「えーっと……」 (それは……めちゃくちゃ嫌な予感がするんですが) 理屈ではなく本能的に(危険!)と感じた私は当たり障りなく「すみません、お店の備品をまとめて発注をしなくてはいけなくて」などと言い訳をしてカウンター内の小さなテーブルに置いてあったノートパソコンを起動させた。
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