768人が本棚に入れています
本棚に追加
お昼を少し過ぎた頃、お店にやって来たのは昨日のふたり組だった。
「いらっしゃいませ」
「ヤッホー、お元気? 美野里ちゃん」
「北原さん、それに南さん」
「名前、憶えてくれたんですね。ありがとうございます」
金髪ピアスの北原さんに真面目眼鏡の南さん。見た目に個性が現れていてすぐに人物と名前がインプットされた。
「ご注文は?」
「おれ、いつもの」
「いつものって、昨日と同じものですか?」
「そう、覚えているかなぁ~」
「アメリカンですよね」
「正解! さっすがぁ~」
「だって昨日の今日ですよ? 覚えていますって」
「覚えてくれていたことが嬉しいんだってーの」
気さくな北原さんとはすぐに打ち解けて話すことが出来た。その一方で──
「南さんも昨日と同じものですか?」
「いえ、今日は木曜日なので抹茶ラテを」
「木曜日、なので?」
「はい。曜日で飲むものが決まっています。木曜日は抹茶ラテです」
「そうなんですね」
(ははっ、面白い人)
心の中で含み笑いをつつ、曜日別注文をメモしておかなくてはと思った。
最初のコメントを投稿しよう!