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お昼休憩にお茶を飲みに来てくれる北原さんと南さん。
他愛のない話をしている中で急に北原さんが話題を変えた。
「ねぇねぇ。美野里ちゃんって明日の夜、ヒマ?」
「明日、ですか?」
「そう。もしヒマなら歓迎会を兼ねた飲み会しない?」
「歓迎会?」
「うん。つってもメンバーはこの三人だけど」
突然の誘いに戸惑いつつ、どう答えようと少し考えていると
「先生も呼んだらどうだ」
「え、先生? 来るかなぁ」
「先生?」
南さんが北原さんに向かって発した言葉に思わず喰いついてしまった。
「はい。僕らが懇意にしている人なんですけれど、ちょっと引きこもりみたいな生活をしているので機会があれば外に出るように誘っているんです」
「ん~~来るかなぁ……酒の席に」
「美野里さんの歓迎会だといえば来るんじゃないかな」
「あ! そっか。なんてったって十喜代ばあちゃんの孫だもんな」
「えーっと……話が見えていないんですけど」
どんどん話を進めて行くふたりについて行けなくてつい口を挟んだ瞬間、扉の鈴の音に反応してドアの方を見ると、其処には例の着物姿の東藤さんが立っていた。
すると素早く「先生?!」と声をあげたのは南さんだった。
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