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(うぅ~~やっぱり東藤さんってイケメンだなぁ)
そんな浮ついた気持ちを懸命に払い退けようと表情筋を引き締めた。
「わぁお、美味そう! 先生、ちょっと喰わせて」
「阿呆。誰が食べさせるか。これは俺のピラフだ」
「えぇーケチ! ちょこっとだっていってんのによぉー先生って本当ケチで根暗で傲慢で鬼畜だよなっ」
「──おい、それ以上汚い言葉を続けるならその耳にくっついている金属、引っ張って千切ってやるぞ」
「! す、すんませんっ。ほんのジョークだぜいっ」
「ふんっ」
東藤さんと北原さんのやり取りを呆けた顏で見つめていると南さんが苦笑しながら話しかけて来た。
「修吾が騒がしくてすみません。あいつ、先生に罵られるのが好きみたいで先生に嫌がられてもつい構ってしまって」
「えっ、罵られるのが好きって……」
「まぁ……それは追々」
「?」
東藤さんの登場に静かだったお茶屋は俄かに騒がしくなったのだった。
急に騒がしくなったお茶屋はほんの10分足らずで静かになっていた。というのも北原さんと南さんはお昼休憩の時間が終り其々の職場に戻って行ったから。
「ご馳走様でした」
完食したお皿を前に両手を合わせて挨拶する東藤さんに癒された。
(ああいう些細なことをされると嬉しいな)
昨日も思ったけれど食べる時の所作も綺麗だし、食べ始めと終わりの挨拶が自然と出るところも好感が持てた。
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