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それからしばらく会話が続いたけれど不意に「そろそろタイムアップか」と悟流さんが呟いた。
それと同時に店内の窓から外に車が停まるのが見えた。
「迎えの車が来ました」
「このままお帰りになるんですか?」
「はい。兄に会うのはまだ時期尚早かと思われますので」
「……」
「そんな顔をしないでください。時間はたっぷりあります。第一、兄から結婚の報告が来たというだけでも東藤家にとっては一大事だったんですから」
「え」
「今まで連絡なんて一度もなかった。何処でどうしているか分からなくて……だけど此方から動く事は出来ず心労を重ねたこともありました」
「そうなんですか?」
「はい。だから今回こうやって報告があったということは、兄の中でも徐々に何かが変わっていると──そう思えてならないのです」
悟流さんの言葉を訊いて益々雄隆さんが少しずつでも変わろうとしていることが確信出来た気がした。
(口で言っていることと内心思っていることが違うのよね)
一度こじれてしまった関係がそう簡単に修復出来るとは思わないけれど「時間が解決してくれそうな気がして来ました」と、そんな言葉を悟流さんに掛けていた。
それを訊いた悟流さんは柔和な表情を浮かべ「えぇ」と短く頷いてくれた。
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