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驚いた私は思わず息を呑んだ。
「──もしかして美野里ちゃん、わたしと先生のこと、怪しんでいる?」
蘭さんからそう問いかけられて緩く首を横に振った。それを見た蘭さんはゆっくりと口元を覆っていた掌を放した。
「怪しんだりはしていません。雄隆さんと蘭さんの間にその……男女の関係はないと思っています」
「そうよ、その通り! そういう関係ではありません!」
「だからこそ余計にどういう関係なのだろうと思ってしまうんです」
「……」
「蘭さん、私のことを思って色々助言や牽制をしたかと思ったら、反対に雄隆さんとの仲を取り持ってくれたり……。そういうのを感じる度に蘭さんって一体雄隆さんとどういう関係なのだろうって思っていました」
「……美野里ちゃん、それは今更だわ」
「え」
蘭さんが口元を吊り上げにっこりと笑いかけた。
「そういうことはもっと早くに気にすることじゃない? わたしと先生の関係が何なのかって」
「……そう、ですね。でも私自身、自分のことでいっぱいいっぱいだったし、私にとって蘭さんはお姉さんみたいな存在で雄隆さんのことに関してはよき相談者というか……」
「そう思っていてくれたなんて嬉しいわ」
私の話を訊いても蘭さんは嫌な顔ひとつせず相変わらずにこにこしていた。
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