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私の話を訊き終えた雄隆さんは少し複雑そうな顔をした。
「あの時から……ううん、もっと前から私は雄隆さんのことを想っていました。だけど知られてはいけない気持ちだと思って必死に隠していたんですけど幸一郎さんにはあっさりバレてしまって……」
「……」
「そういう思い出がある湯呑みなんです、これ」
「……そうか」
雄隆さんは短くそれだけをいうと湯呑を手に取りお茶を飲んだ。
そして思いのほか優しく微笑みながら「なんだか湯呑みが違うだけでいつものお茶も美味く感じるな」なんて言ってくれた。
それに対して「そうですね」と同意しつつ雄隆さんとこの湯呑みを使えている今をとても幸せに思ったのだった。
そして宣言通りその日の夜はいつも以上に濃厚に愛された。
もう無理ですと何度も降参するけれど雄隆さんは愛することを止めなかった。
何度も何度も昂りを与えられて気が狂うかと思うほどにその快楽に引きずり込まれた。
激しい愛撫の合間に囁かれる甘い口説き文句は私を何度も悦ばせ、結局軽く気を失うまで雄隆さんからの執拗な攻めを受け入れ続けたのだった──。
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