最終章 幸せな、未来来ました。

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だけどそんなネガティブな考えは以前から何度も持ち、雄隆さんを受け入れる時にも抱いたものだった。 私なんかが幸せになっていいのか? 私みたいな女が好きな人と結ばれていいのか? 幸せになることを素直に受け入れることが出来ずにいたあの時に救ってくれた言葉が今も私を救おうとしていた。 『幸せになれる機会があれば迷わず飛び込んでいきなさい。亡き子に悪い、幸せになる権利がないなどと思い上がった考えはもたないように。亡き子を想い、敬う気持ちがあるのなら、まずはあなた自身が幸せでなければいけませんよ』 (そうだ、私……幸せにならなきゃ) そういう考えを持てたからこそ今の幸せがあるのだ。 だったら私はもっと幸せになりたい。 そして雄隆さんも幸せにしたい。 (うん、そうなんだよね) 私の望みはやっぱりそこへと行き着く。 亡くした子の代わりが欲しいだなんて思わない。 もしもこの世に神様という存在がいて、こんな私に預けてもいいと思ってくれたらその尊い子は再び私の元にやって来てくれるだろう。 今度は愛する人との子として。 自然の流れで私の元に来てくれた子を今度こそ私は──私と雄隆さんとで幸せにしたいと、そう思えるようになっていたのだった。
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