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「君が見学を許さなかったから頼んだまでだ」
「な、なんで開き直っているんですか! 私は恥ずかしいから見られたくないっていったのに!」
「君はそうだとしても俺は見たかったんだ。君の先生ぶりを」
「~~~っ」
雄隆さんは悪びれことなく淡々と隠していた真実を吐露した。
「何を恥ずかしがっているか分からないが、俺にはどんな君も見てみたいという欲望が常にあるということを知ってもらいたい」
「なっ!」
雄隆さんが私の窺い知れないところで犯罪紛いの行為をしていたと知って憤慨した。
恋人じゃなかったら──ううん、きっと親しい関係だったとしても盗み撮りは立派な犯罪だ。
そんな罪を犯していて今まで黙っていたとはなんて人だ! と怒っていた。
──そのはずなのに……
「どんな君も俺は見てみたい」
「ちょ……雄隆さん、近いです」
「約束する。盗み撮りをしたのはあの一度だけだ。もう絶対にしない」
「あ、当り前、です」
じりじりと近づいて来る雄隆さんは私の手を取り力任せに引き寄せた。
「っ!」
そのまま畳に押し倒され目の前に雄隆さんの上気した顔があった。
「盗み撮りをしてすまなかった。そしてそれを隠していたことも謝る」
「……も、もう……いいです」
雄隆さんの誠意のこもった言葉に一気に怒る気が無くなってしまい、そして何故か私が優位にあった立場が逆転していた。
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