最終章 幸せな、未来来ました。

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「美野里」 「はい」 「……来てくれてありがとう」 「え?」 「この町に──俺の元に来てくれてありがとう」 「!」 突然なにをいうのかと思いながらもなんだか目頭が熱くなった。 「君が此処に来てくれなかったら俺はどうしようにもない生き方しか出来ないろくでなしのままだったと思う」 「そんなこと──」 「ある。心の拠り所だった十喜代さんを亡くして、少しはまともになりつつあった俺はまた元の抜け殻に戻るところだった」 「……」 「俺はどうしたって十喜代さんが君を此処に、俺の元に導いてくれたのだとしか思えない」 「……そう、ですか」 私がこの町にやって来たのは色んな災いや辛いことから逃げて来たというところが大きい。 だけど、きっかけこそ祖母が亡くなったことだったけれど私自身、小さな時からこの町が好きでいつかは此処に住みたいと思っていた。 此処にたどり着くまで沢山嫌な事や悲しい事を味わって来たけれど、今ではそんな苦しみも今ある幸せになるための試練だったような気がした。 「んー……」 雄隆さんが低く唸るから顎が乗せられた頭に振動が伝わった。そして急に体を放され面と面を突き合わせるように振り向かされた。 「どうしました?」 「ちゃんと顔を見ていいたい」 「え」 「美野里、愛している」 「!」 突然の愛の言葉とギュッと抱きつかれたことに驚きつつも幸せな気持ちでいっぱいになった。
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