第十章 突然に、愛されました。

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(東藤さん…すごく雰囲気が柔らかくなった) 以前のような剣のある雰囲気が和らぎ、グンッと近しくなった。 其れは体を重ね合った効果なのかも知れないけれど── (恋人同士って実感…ジワジワ来ている) 恋愛の甘酸っぱい感じというか、幸福感というか、今まで味わった事の無い寄り添い感がとてもあって、私はこの雰囲気に癒されている処があった。 忘れてしまいたい記憶も、悲しみも、嫌悪感も、今は東藤さんと共にある事で払拭された気がするのだった。 「今日も店を開けるのだろう?」 「はい」 「覚悟しておけよ」 「は?覚悟、ですか」 「昨日の今日──恐らく噂は広まっている」 「……」 一瞬何を云っているのか解らなかったけれど── 「常連の婆さまたちに突っ込まれたら思いっきり惚気てやれ」 「!!」 (そうだ、北原さん!) 昨日、北原さんに東藤さんとの事がばれてしまった。 東藤さん曰く、北原さんは口の軽いゴシップ好きだそうで…… 「あぁぁ~そうか~~何か云われるかぁ~~」 何を云われ、どうからかわれるのかおおよその予想がついて、少しだけ悪寒を感じた私だった。
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