第三章 美女に、迫られました。

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(いやいや、軽過ぎでしょう、私) これじゃあただ見た目で好きになったといわれる展開になる。 (好き──? いやいやいや! 好きじゃないよ!) ……………まだ。 …………?! (~~って、なに考えているの!!) 自分自身のノリツッコミで明らかに挙動不審な所作をしていたのが分かった。 「あ~今日はここらでお暇するかねぇ」 「ほうじゃな。美野里ちゃん、あんたちょっと休みなはれ」 「そうだよ。わしらのために店ば開けんでもえぇんじゃから」 「また寄らせてもらうからなぁ」 「え……あっ」 皆さん其々飲み終わったカップの横にお代を置いてそのままお店から出て行った。 「あぁ……気を使わせてしまった」 ひとりになった店内に私の呟きだけが響いた。 洗い物をしている時でもついため息が出てしまう。 (本当、なんだろう……昨日まではこんなことなかったのに) 歓迎会に行くまではこんなに東藤さんを意識していなかった。 だけどたった一夜明けただけでこんなにも気持ちに変化が起こるものなのかと我ながら嫌気が差した。 (私の悪い癖だ。よく解らない人のことを……) 大して知りもしない人が気になって、その気持ちを恋だと錯覚してしまう。 昔からそんな勘違いばかりを繰り返して来た。
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