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「それじゃあ宿題は半分しかできていないようなものじゃない」
「えーっ!? ちゃんとお店以外で会うことができるようになったんだよ? 優希の出した宿題はクリアしてるでしょ?」
「だって、二人きりで会う約束をしたわけじゃないじゃん」
「う。そ、それは……。でも! こないだの宿題に “二人きりで” なんて条件はなかったでしょ!?」
優希のシフトと休みが重なった定休日。
私たちはいつものカフェでランチを食べている。
テラス席わんこOKのこのお店で会うときは、優希はたいてい実家で飼っているパピヨンのヒメを連れてくる。
チョコ太郎はヒメが大好きだから、いつも会うたびに興奮しすぎてヒメにドン引きされているけれど。
今日も会うなり飛びつこうとしたチョコ太郎をヒメがガウッと牽制し、その後はお互い微妙な距離を保ったまま、フロアのテラコッタタイルに寝そべって日向ぼっこをしている。
「まあ、そのボルゾイ似のニット王子と会う回数が増えることは評価するよ。今日のチキテリプレートをおごるのは免除するけど、その代わり次の宿題を出すからね!?」
「お手柔らかにお願いします……」
「では、次の宿題。今度こそ、ニット王子と二人きりで会う機会を作ること!」
「先生、犬の頭数はカウントされますか?」
「そうね……。奥手の瑚湖に犬無しはハードル高いだろうから、犬はノーカンにします」
「了解! 頑張りますっ」
腕組みをしてふんぞり返る優希に向かって私が敬礼すると、二人でプッと吹き出した後にランチプレートをつつき出す。
こうやって冗談めかしながら、なかなか勇気を出せない私の背中を押してくれる親友がありがたい。
でも、ドッグカフェのお誘いは断られてしまったし、どうやって池崎さんを誘えばいいんだろう……?
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