二章 二幕 いざや行かん南方視察

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二章 二幕 いざや行かん南方視察

 この度の視察にあたっての同行者は、御者にソルテス、意見役としてリァンと、シャイアが召し上げたという財政部のアカム。侍女はローザを始めとする王妃付きのカレンとニシナ、他は国王付きが二名と小間使いが三名。そして護衛にアッガーラのバルクとその部下七名が付いて来る事となった。  守られる人数の半数だが、腕が立つ事はよく知っている。ハクユウは一個小隊をつけようとしていたが、あまりに目立つのも考え物だ。アッガーラの働きぶりを知っているガジェの口添えもあり、近衛兵団は置いてくる事となった。  ロダスに後の仕事を押し付けてしまったが、彼は斥候の報告を聞いて当然とばかりに引き受けた。  斥候から聞いた内容でも、南は酷いものだった。東南の方角はソロニア帝国の領地となって以降、間近は王の直轄地として収め、食糧自給率も経済も滞りなく回っていた。しかし、その直轄地の隣にある南の大領主、辺境伯のザナス領が酷い。  食糧自給率は何とか基準値を保っているが、これは追徴税を引いていない数字だろう。領主にはある程度は領地内の整備をするため税の融通を利かせられる権限を与えているが、それはザナス辺境伯の遊蕩の為ではない。     
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