二章 二幕 いざや行かん南方視察

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 ロダスとよく話し合って、特例ではあるがザナス辺境伯邸ではなく直接街へ行こうとなった。  ()()()()王宮に来ていたバルクを捕まえて、貧民街の事を交え、兵ではなくアッガーラに護衛を頼めないかと依頼すると快く引き受けてくれた。 「なに、俺らのような荒くれものが日銭を稼ぐとしたらこういった護衛業ですからな。冬の蓄えを買い込んだ所で財布も寒い。喜んで引き受けましょう」  そうして、バルクの村から一緒にやってきていた十五名のうち半数を借りて、南への視察へと向かった。残りの半数はウルド山脈の各村へ買い付けの証書を配りに行くらしい。  護衛の中にはマーガレットとボスコもおり、二人とも今は馬で馬車を取り囲むようにしている。  南の視察団はシャイア、リァン、アカム、ナタリアとローザの馬車と、後ろに従者たちを乗せた馬車が付いてきている三台編成だ。その三台を囲むように騎馬でバルク達が配置されている。  シャイアは喋る余裕も無いのか、アカムとナタリア達を紹介することもなく黙りこくって旅を続けた。  収穫が終わり空になった田畑を眺めながら、途中集落や村に泊まって三日後の夕刻、南の……ザナス領の街、スピリトへと着いた。     
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