二章 三幕 貧民街

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 今度こそ話は終わったとばかりにシャイアはアッガーラに視線を送る。アッガーラが領主を取り押さえようと囲むと、控えの間にいた兵士達が押し掛けてきた。  狭い室内に三十人は居るだろうか。皆手に武器を持って居る。やたら体格が良いのは、この領主の手元でぬくぬくと飼われていたせいだろう。  バルムが部下へ命ずる。半数は急いでザナス辺境伯を囲んで取り押さえていた。 「陛下を守れ」 「了解。でも数が多いね」 「西の戦に比べりゃ微々たるものさ」  マーガレットとボスコが腰の剣を抜く。幅広の鉈のような刃だが、両面が刃になっており、薄さも鉈とは違う。これは紛れもなく武器だ。 「あんた弓じゃ無いのにいけるのかい?」 「バカ言え、弓しかできねぇ弓兵が狩りなんぞできるか」 「それもそうさね。私は右を」 「俺は左だな」  二人は軽口を叩きながら位置どりをする。この部屋には侍女二人と王妃がいる。侍女二人は壁際でじっとしているから一先ずは大丈夫だろう。  狩るものは、狩られるものの気持ちがわかっていなければ狩りはできない。狩りとは狩るその瞬間までの読み合いだからだ。  だから分かる、今は仲間の半分がザナス辺境伯を取り囲んで居るのに奪い返す気で居ることが。     
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