二章 四幕 オペラの血筋

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(後ろの侍女二人は……王妃が自国から連れて来たという二人だ。きっと知っていたんだろう)  バルクは素早く観察するも、どう考えても「この場で技を振るわない理由」に思い至らなかった。  ここまで読んでナタリアが技を振るったのだとしたら……または、それを見越してアッガーラを連れてきていたのだとしたら……大変な策士でもある。  しかし、シャイアの前ではどうにもか弱い普通の女性に見える、とバルクは首を捻った。 「いいんですの。今は一刻も早く街をどうにかせねばならない時。ここで時間を取ってはいけません」 「支えてくれると言っていたものね。嫌な事をさせてしまった」 「私は、もともとこういう者ですから」  シャイアはそんなナタリアに平然と話しかけた。気遣う風まで見せている。  バルクをはじめとするアッガーラは茫然と眺めていたが、王妃が、さぁ、と視線で促すとザナス辺境伯を連れて邸を後にした。あの王妃と同じ空間に居るのが、なまじ腕が立つだけに嫌だったというのもある。  狩られる側の気分を味わい続けるのだ。ゾッとしない。 「カレン、ニシナ。ごめんなさい、汚してしまったわ。お願いできるかしら」  今日の会談という名の宣告について来たのは当然この二人である。     
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