二章 四幕 オペラの血筋

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 ナタリアが申し訳なさそうな声で告げると、お任せください、と二人は綺麗にお辞儀をした。 「では行きましょう。街ではアカム様とリァン様が調査と交渉を行っております」  死体の処理と邸の掃除を二人に任せると、ナタリアはシャイアを促してスピリトの街へと戻っていった。  宿ではアカムとリァンが待っていた。  略式の礼で国王夫妻とアッガーラ、捕らえられたザナス辺境伯を出迎えると、アカムは微かに顔を顰めた。 「血の匂いがなさいますが……」 「ごめんなさい。ちょっと伏兵がいらしたの」 「そうでしたか。ご無事で何よりです、王妃様」  彼は父が近衛の兵士だそうだ。昔から小競り合いやちょっとした鎮圧騒動の帰りには、血の匂いをさせていたらしい。血気盛んな性質なのだろう。  対照的にアカムは銀縁の眼鏡に鋭い青い目をした理知的な青年である。黒い髪をロダスのように後ろに撫でつけているが、着ている服はリァンが元々着ていた司書部のローブに近い。ところどころのパーツに組み込まれている色が、司書部は赤なのに対し財政部は青という違い位だろうか。 「ご報告をしても?」 「あぁ。部屋に行こう。すまないがバルク、ザナスを見張っておいてくれ」 「承りましたよ、国王陛下」  広間の長椅子に四人がかけると、アカムから報告を始めた。     
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