二章 四幕 オペラの血筋

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「私は貸金屋へ向かいました。帳簿に目を通しましたが……借金はザナス辺境伯だけのものと考えてよいでしょう。利率は三割五分。はっきり言って異常に高い数字ですが、返済の滞りはありませんでした。そこは幸いというべきでしょうね」 「滞ってしまっていたら、ザナス以外にも同じ条件で金を貸していたかもしれないな」 「はい。そういう意味ではザナス辺境伯は良い働きをしたと言ってもいいでしょう。……ただ」  アカムがそこで言葉を切ると、続いてはリァンが話始めた。 「次は私から。私は街の調査に……主に貧民街の調査に向かいました。護衛を二名つけて頂けたのは幸いでした。通りを一本進むごとに片手では済まない数の強盗、追剥、恐喝を受けましたから。悉くを()()()()いただいたので話が聞きやすかったのですが、どうにも納税できずに仕事にあぶれた農民、仕事をつぶされた商家の者、その下働きといった者たちが貧民街を形成しているようです。アッガーラの案内で元締めの元へ行き、国王直轄地になる事、仕事の斡旋と補填を行う旨を話したところ、まだこの貧民街が出来たばかりと言うのも大きいでしょうが、納得していただけたようです」  一度乱れた生活に慣れた者が、元の生活を望む、そういう道があるというのを信じるのは難しい。  しかし、今回はまだ日が浅い。彼らの心に少しは希望が残っていたと見て良いだろう。     
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