二章 四幕 オペラの血筋

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「では、アカムは貸金屋への返済と利率の取り下げを行う旨を。リァンは元締めと話を詰めたいので、その者を王宮へ招く手配をそれぞれ行ってくれ」 「……良いのですか?」  アカムが怪訝そうな顔でシャイアに尋ねる。  一領主の借金の肩代わりをした事が知れ渡れば、今後シャイアの元に届く嘆願書はもっと増えるだろう。 「なに、構わないさ。その時は、爵位と領地を明け渡すなら、という条件で金の貸付を行う事にするよ」  なるほど、それならば無茶な嘆願書も届くまい。  シャイアの茶目っ気たっぷりな笑顔にアカムが肩の力を抜くと、リァンと共に立ち上がって礼をして出て行った。  二人きりになると、シャイアは窓辺へと寄ってうんと伸びをした。 「実はね、私は君が男だったら、敵だったら恐ろしい、と考えていたんだ」  情けない事に、と頭をかいたシャイアの背に、ナタリアはまっすぐに目を向けた。 「でも、思ったよ。君は私の為に力を振るってくれる。そこには一点の曇りも迷いも無い、って」  どこか晴れやかな顔をしたシャイアの横顔。ナタリアはひとつ頷いてみせた。 「我々は技を振るう者ですが、ただの武器なのです、シャイア様」  ナタリアは満を持してシャイアにそう告げた。     
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