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偏見はあるものと割り切って、手の届く王宮内部には手を入れた。出来るところは改革し、人を入れ替えて新しい風を取り入れ、軍備も強化した。ガジェやハクユウがいた頃よりは温いだろうが、一旦落ちてしまった士気を上げるには相応の理由が居る。かといって他国に戦争を仕掛ける気も理由も無い。
果たして、貴族諸侯の教育はどうしたものか、というのがシャイアの頭の痛いところである。
「一人で考えて居ると頭が破裂しそうでね、かといって下手に相談したら本人の望むと望まざるとに関わらず、王が施政で教えを請うた、と揶揄されてしまう。私が召し上げてきた者たちは貴族の出では無い者が多くてね……、適切な助言をくれる貴族となると」
難しい顔でシャイアは言葉を切った。いつも飄々としているシャイアがこうも思い悩むというのは、ナタリアが嫁いでから初めての事である。
「一人に目を掛けると……館の教育もそうでしたが、その御仁が今度は旗印に挙げられてしまうか妬みを買ってしまいますね」
「反乱を起こしたい気持ちは分からなくは無い。領土は平等に削ったのだし、実入りが悪くなれば上に陳情するのは当然だ。生活が変わるからね。根本的に国土が大幅に減ったのだから改善してはあげられないけど……、生きていくだけ、以上の十分な収入を得て居るはずなんだ。本当ならば」
「あら、もしかしてここからが本題だったりいたします?」
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