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二章 六幕 アッガーラの誇り
「なるほどなぁ……そういう事でしたか。じゃああの西の時の斥候は……」
「はい、私の侍女でございます」
「ははぁ」
話が終わる頃には、すっかりバルクは馴染んでしまっていた。
もともと知識欲の旺盛な男なのだろう。話の途中から、これは、あれは、と何かと質問までし始めたのだ。
ナタリアも聞かれることには素直に答えるものだから、シャイアは内心ハラハラした。しかし、一国の、しかも隣国の元首に知ってもらう事には意義がある。
ナタリア達四人はともかく、アッガーラは其々がヴァベラニアの武将相当の実力を持っている。
日々戦闘の中に身を置き、狩りをする中で鍛えられたものだろう。実戦経験が段違いなのだ。
その隣国に腹を明かしておくのは、危険も大いに伴うが信頼関係を築くには大事な事である。
寝首を掻かれる事を恐れては相手に背を預ける事は出来ない。
「もちろん、この話をしたのはバルク様を信頼しての事なのですが」
「が?」
ナタリアは最後にこう付け加えた。
「私たちは、いつでも見ています。聞いています。貴方を殺す事もできます。ですので、お話しました」
ぽかん、と口を開いたバルクである。
「ぶっ……あっはっはっは!」
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