二章 一幕 文明開化の音がする

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二章 一幕 文明開化の音がする

「ふぅむ……ナタリアはこの国についてどう思う?」 「また範囲の広いお話ですわね」  定例となった晩餐後のお茶の時間にシャイアは唐突に切り出した。最近はローザが朝の身支度を手伝い晩餐まで働くと帰ってしまうので、夜のお茶はカレンとニシナが付き添ってくれている。お陰で忌憚のない会話ができるのだが、今日の話題は唐突な上に曖昧であった。  ソロニア帝国と比べての話を聞きたいのだろうが、花壇と畑を比べて、どう思う? というようなものだ。 「あぁ、ごめん。うまく言葉にするのが難しいな……、もう少し範囲を絞るなら、この国の学びについて、だ」 「学び、ですか……、少し考えますのでお時間をいただきます」  これまた範囲の広い話である。学び、とは一概に勉学の事を指すわけでは無いからだ。 「といってもぱっと見の、思ったことでよいのだけれど」 「では率直に。あまり文字は普及していないのかしら、と思います」  ソロニア帝国はどの街にも劇場が建っているため、それに伴い商業施設の発展が目覚ましい。飲食店から小売業、宿もピンからキリまであるが、貴族諸侯や大商人が滞在する宿には侍従は付き物である。     
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